超音波伝搬状態の測定・解析により、
超音波振動が伝搬する現象に関する分類方法を開発・応用しています。
この分類方法は、
超音波の伝搬状態に関する
主要となる周波数(パワースペクトル)の
ダイナミック特性(非線形現象:バイスペクトルの変化)により
線形・非線形の共振状態を測定解析評価する技術に基づいています。
これまでの音圧データの測定解析から
超音波利用に関する伝搬状態を
以下のような
4つのタイプに分類することができました。
1:線形型
2:非線形型
3:ミックス型
4:変動型
さらに変動型は、以下のような
3つのタイプに分類することができました。
1:線形変動型
2:非線形変動型
3:ミックス変動型(ダイナミック変動型)
上記の各タイプに基づいた装置開発・制御設定・検査・・・
超音波技術の応用に関して成功事例が増えています。
特に、
安定性・変化の状態・・・に関して
周波数成分による詳細な分類により、
目的と効果に対する、効率のよい
各種制御条件の設定・調整が可能になりました。
さらに、洗浄に関しては
汚れの特性やバラツキに関する情報が得られにくいため
このような分類をベースに実験確認することで
効果的な超音波制御が、実現しています。
その他の応用事例
超音波洗浄機の評価、超音波振動子の評価、・・・
超音波加工・溶接・曲げ・・・振動現象の制御
超音波による化学反応促進・抑制(例 めっき)処理
表面を伝搬する超音波振動の特性による表面検査・表面処理
液体・気体・弾性体(粉末・・)に対する
超音波(攪拌・乳化・分散・粉砕・表面の均一化・・・・)処理
その他
この分類の本質的なアイデアは、
超音波の音圧データの解析結果(バイスペクトル)のデータ群を、
抽象代数学の「導来関手」に適応させるということです。
抽象的ですが、超音波の伝搬状態を計測解析するなかで
非線形現象(バイスペクトル)に関する、対応・制御事例から
時間経過とともに変化する状態を捉えるために
「導来関手」とスペクトルシーケンスの関係を
線形・非線形の共振現象に対応した超音波の伝搬空間変化として、
(複体の変化と考え)分類しています。
その結果、超音波システム研究所の「非線形制御技術」は、
この方法による、
具体的な技術(例 超音波制御システム)として実現しています。
1:線形型(キャビテーション主体型)
超音波の発振周波数に対して
伝搬状態の主要(最大エネルギー)周波数が
低調波(発振周波数の1/4、あるいは1/2)
から高調波(発振周波数の1倍、・・3倍)の範囲で
若干の変化がある状態
注:低調波(発振周波数の1/8)以下の場合
低周波の共振状態により、不安定な共振と干渉が発生し
安定した状態が実現しない傾向になります
2:非線形型(音響流主体型)
超音波の発振周波数に対して
伝搬状態の主要(最大エネルギー)周波数が
高調波(発振周波数10倍以上)の範囲で
若干の変化がある状態
注:高調波は、超音波振動子、発振プローブ・・の
表面状態の工夫(特開2021-125866)により
発振周波数の100倍を実現することも可能です
3:ミックス型(キャビテーションと音響流の組み合わせ型)
超音波発振部材の設置方法や接触部材・・・の相互作用により
発振周波数に対して
伝搬状態の主要(最大エネルギー)周波数が
低調波(発振周波数の1/8,1/4、あるいは1/2)
から高調波(発振周波数の1倍、・・10倍)の範囲で
自然に発生する、大きな変化がある状態
コメント
上記の1,2,3は、基本的な伝搬状態ですが
振動現象が、安定して長時間同じ現象を続けるためには
各種制御・・工夫が必要です
上記の1,2,3は、単調な発振状態を継続すると
周波数の低下や超音波の減衰現象が発生し
超音波の利用効果は小さく、無くなっていきます
そのために、実用的には
下記分類にある状態を利用することが実用的です
4:変動型(各種制御による変化を利用するタイプ)
4-1:線形変動型
複数の超音波発振部材や発振制御・・を利用して
伝搬状態の主要(最大エネルギー)周波数が
低調波から高調波を、
目的の範囲(発振周波数の1/8~10倍程度)で
制御可能にした状態
4-2:非線形変動型
複数の超音波発振部材や発振制御・・を利用して
伝搬状態の主要(最大エネルギー)周波数が
低調波から高調波を、
目的の範囲(発振周波数の1/2~50倍程度)で
制御可能にした状態
4-3:ミックス変動型(ダイナミック変動型)
複数の超音波発振部材や発振制御・・の
音響特性や相互作用の確認に基づいて
伝搬状態の主要(最大エネルギー)周波数が
低調波から高調波を、
目的の範囲(発振周波数の1/16~100倍程度)で
制御可能にした状態
超音波の音圧測定解析に基づいた、超音波伝搬現象の分類
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超音波伝搬現象の分類1
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