超音波伝搬状態の測定・解析・評価システム

超音波伝搬状態の測定・解析・評価システム

写真1 超音波の音圧測定・解析・評価システム

■  はじめに

超音波の伝搬にはたくさんの条件があり、それぞれの影響が複雑に関連している。その中で、最も重要な事項の一つが、超音波の測定・解析・評価である。これまでの経験・実績から、超音波機器の利用目的・状態に応じた、音圧測定・解析・評価システムを製造する技術を開発した。

現在、この技術に基づいた、超音波システムを製造販売している。

その結果、目的とする超音波伝搬状態の最適化が可能な、超音波の最適化制御技術が実現した。

■1)何が問題か?

現在、超音波の利用に関して、最大の問題は、ダイナミックに変化する超音波の伝搬状態を適切に測定する方法がないために、超音波利用に関する効果的な伝搬状態が明確になっていないことである。

音圧レベルや放射エネルギー・・・の測定、ハイドロホン(水中マイクロホン)や電子天秤・・・・の利用、・・・様々であるが、測定範囲の制限や平均的な値を評価することが多い状況である。

この問題を、以下のように解決した

1)最小サンプリング時間を0.002μ秒(最大解析周波数250MHz)まで対応

2)周波数・音圧レベルに応じた、オリジナル超音波プローブを開発・製造

3)時系列の音圧データから非線形現象の変化を検出・評価

■2)どのようにして解決するのか?

超音波の音圧測定システム技術
1)オリジナル超音波プローブの開発製造技術

<<特許出願>> 特開2021-125866 超音波制御(超音波発振制御プローブ)  圧電素子の周波数・形状・サイズ・・による伝搬特性の確認に基づいて、超音波とファインバブルで表面処理を行った超音波の音圧測定部材の接着・取り付け方法を音圧測定範囲(音圧レベル・周波数)に合わせて調整する。

写真2 超音波プローブの分類

写真3 標準的な使用例(洗浄液の音圧測定用と水槽表面の音圧測定用)

2)超音波の音圧データ解析・評価技術

2-1)(時系列の)音圧データに関して、

多変量自己回帰モデルによるフィードバック解析により

測定データの統計的な性質(超音波の安定性・変化)について解析評価

2-2)超音波発振部の影響をインパルス応答特性・自己相関の解析により

各種対象物(水槽・・・)に関して超音波振動現象の応答特性として解析評価

2-3)2ヶ所、あるいは3ヶ所を同時に音圧測定することにより

超音波の相互作用を、パワー寄与率の解析により評価

2-4)超音波の利用(洗浄・加工・攪拌・・)に関して

超音波効果の主要因である対象物あるいは対象液に伝搬する超音波の

非線形(バイスペクトル)解析により、超音波のダイナミック特性を解析評価

写真4 「R」を利用した、音圧データの解析

注:解析には下記ツールを利用します

注:「R」フリーな統計処理言語かつ環境

注:TIMSAC(TIMe Series Analysis and Control program)

以上の技術を基礎として、超音波伝搬状態の制御を実現させる

■3)どうして新しい超音波システムなのか?

超音波の分類に基づいた、発振制御モデル

弾性波動に関する工学的(実験・技術)な視点と

抽象代数学の超音波モデルにより、非線形現象の利用方法として開発した。

図1 超音波の分類

図2 発振制御モデルと超音波発振制御プローブ

上記に基づいた音圧測定・解析・評価により、
現状では検出・解決が難しい超音波伝搬状態の最適化問題を解決する

 

■4)<具体例:超音波のダイナミック制御>

写真5 超音波めっき処理

脱気ファインバブル発生液循環とメガヘルツ超音波とエアーブローによる超音波制御

図3 音圧測定データ

図5 音圧データ解析(バイスペクトル)

説明

水槽に合わせた脱気ファインバブル発生液循環を適正に行うことで、超音波が、効率よく水槽内の液全体に伝搬する。エアーブローと超音波(1-20MHzのスイープ発振)の最適化によりにより、ダイナミックな非線形現象の伝搬状態が実現し、均一で安定しためっき処理が実現する。

注:

1)脱気ファインバブル発生液循環ポンプによる液循環を5年以上継続した状態

(水槽表面の均一化が進み、超音波が水槽全体に広がる)

2)メガヘルツ超音波発振は、1年以上継続した状態

(めっき液に溶存しているコンタミの分解、水槽表面に堆積する物質の削減、・・)

3)エアーブローの調整により、超音波の伝搬周波数と変動範囲は大きく変わる

図6 超音波発振システム

■ まとめ

測定解析技術の進化とともに、超音波の可能性が大きく広がっている

特に、異質なジャンルや根本的な学問(数学や哲学)を取り入れることで、今後ますます超音波という技術は飛躍すると感じる

超音波の可能性を考え、超音波技術への偏った考え方を捨て、自由な超音波に対する発想により、新たな利用を検討していきたいと考えている

 参考

超音波1:38kHz 150W

脱気ファインバブル発生液循環    メガヘルツ超音波発振

<<< 音圧測定・解析 >>>

超音波の相互作用を評価する技術
http://ultrasonic-labo.com/?p=12202

超音波の音圧測定・データ解析技術
http://ultrasonic-labo.com/?p=3829

超音波の音圧測定解析
http://ultrasonic-labo.com/?p=17849

超音波洗浄機の<音圧計測・実験・解析・評価>(出張対応)
http://ultrasonic-labo.com/?p=1934

超音波プローブの製造・評価技術
http://ultrasonic-labo.com/?p=15285

音響流(超音波)制御技術
http://ultrasonic-labo.com/?p=1258

超音波の伝搬現象について
http://ultrasonic-labo.com/?p=2604

超音波プローブの製造・評価技術
http://ultrasonic-labo.com/?p=15285

非線形振動現象のコントロール技術
http://ultrasonic-labo.com/?p=17418

超音波の音圧測定解析データを公開
http://ultrasonic-labo.com/?p=2387

超音波発振制御システム2023(25MHz 2ch 200MSa/s)
http://ultrasonic-labo.com/?p=1972

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